どこに向かうのかを決める
経営理念が重要だという話は経営をテーマとした話の中でよく出てきますが、一旦それらしいものを作ったまま忘れてしまう、作ったものの役に立っていないといったこともありがちなのが経営理念です。
会社を一人の人に例えると、経営陣は頭脳に当たり、経営理念は自分がどこに向かいたいのか、複数の選択肢がある時に何を選ぶかと言った価値観や倫理観と言った部分になります。
組織が大きくなってくると、経営者は組織全体を見ることができなくなってきますが、そう言った時に従業員が自主的に判断し行動する規範があれば組織として一貫した行動を取ることができます。経営理念がその部分を司っており、経営理念が浸透している組織は一貫した行動、チームワークを期待できます。
経営理念はわかりやすくなければならない
このように、組織全体の判断基準になる経営理念は、従業員全てが容易に理解できるような内容でなければ機能しません。また、具体的過ぎると特定の局面でしか機能しなくなるため、「誠実に」とか「顧客第一」とか曖昧な表現にならざるを得ません。
従業員は色々な場面で判断に迷うことがあった時に経営理念に立ち返り、「それは顧客第一なのか」、「それは誠実な対応と言えるか」と言ったところから意思決定を行い、行動を決定することになります。
経営理念は本心から目指すものでなければならない
従業員が、その経営理念を信じて行動すれば組織として望ましい行動を取ることになるとするなら、経営理念は「綺麗事」だと経営者が内心思っているような内容ではいけないことになります。
経営者が「そうなったら理想だけど現実はそんな理想論じゃやっていけないよね」と思いながら理想論を経営理念にしてしまったら、従業員が経営理念に沿った行動を取った時に「経営理念はきれいごとを書いてあるだけなんだから、もっと自社の利益になるように行動をしろよ」と従業員を非難するような気持ちになって組織としての行動がちぐはぐになってしまいます。
従業員も理念に沿って行動したはずなのに上司に怒られるという理不尽な状況に陥り、士気が大きく下がってしまいます。このようなことにならないためには、経営者は心からその経営理念に従い、最も優先すべき価値感でなければなりません。
経営理念は常に思い出すきっかけを作っておかなければならない
経営理念は作っただけだと忘れ去られてしまいます。自分自身も忙しさで忘れてしまいがちなのではないでしょうか。そこで、週に一回朝礼で唱える、みんなが見えるところに掲げる等の仕掛けが必要になってきます。
そういう仕掛けもそのうち形骸化し、経営理念について真剣に考えなくなってしまうと意味がありません。そういった意味でも、経営者は心から納得し、自らが嘘偽りなく望んでいる価値観を経営理念に織り込む必要があります。
そうすることで、経営理念を真剣に受け止め、考え続けることができるようになります。