独立開業を目指す公認会計士・税理士の方向けの記事

名前からくるサービスのイメージと報酬の関係

「税理士」という言葉に固定されるイメージ

税理士というと、月額顧問料と、決算申告業務で月額顧問料の数か月分をもらって、金額に応じて毎月~年1回の頻度で訪問して税務関するアドバイスと申告業務を行うというイメージがあります。

この業務のやり方以外が認められていないわけでは無いのですが、例えば「御社に月10日常駐しますので月100万円ください」という税理士がいるという話は聞いたことがありません。また、「私が税理士になった顧問先は3年以内に80%が売上倍増しています」という凄腕の税理士のが仮にいたとして、恐らく一般的な税理士報酬のイメージに引っ張られてしまい、例えば売り上げ倍増によって得られる利益の1割が月間100万円だったとしてもそんなにもらえないのではないでしょうか。

これが、凄腕の経営コンサルタントという話なら、月100万円という価格設定でも支払われているイメージがあります。面白いのは、経営コンサルタントは決算申告業務まではやってくれず、同じ条件なら税理士の方が付加価値が高いはずなのに、税理士だとそんなにもらえないイメージなのに対し、経営コンサルタントだとあり得るような気がするという点です。

公認会計士の監査業務は数百万円~数千万円というイメージです。これも、最近新たに義務付けられた医療法人や社会福祉法人のような所では法外な値段に感じるかもしれませんが、監査する側はそれが普通だというイメージがあるので見積もりを出すように言われたら月額数万円でやるという会計士はいないでしょうし、いたとしても何もせずに監査報告書だけ作るというような非常にいい加減な会計士だと思います。

Win‐Winの関係を築くためには

コンサルタントは、成果を保証してしまうと散々頑張っても成果が出なかったら全く収入にならないというリスクがあります。成果というのは、リスクを取るから大きなリターンが期待できる「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という性質のものであり、成功時の成果が大きなものほど失敗するリスクも大きくなります。

しかしそれでも、本来的には相手が得ることができた利益の何割かを報酬でもらうことで、両方とも利益を得られるという関係が健全な状態です。ただ利益は必ずしも金銭で評価できるものとは限らず、例えば報酬を支払う側の時間が節約されたとか、申告業務などのリターンを得られるわけでは無いができないことをやってもらったなどの話をどう評価するのかという問題があります。

厳密に対価以上のサービス提供ができたとわかるのであれば話は分かりやすいのですが、現実には金銭という尺度はかなり部分的な事しか表現できず、各自がそのモノ・サービスにいくら払ってもいいと思っている心の中は定量的に図るのは困難です。しかも、先ほどの税理士と経営コンサルタントのイメージの違いのように先入観で高い安いが決まってしまうという事もあります。

新たな名前を付け、何をやるのかを定義する

パーソナルブランディングのコンサルティングを行っている人が書いた本に、自分を聞き手がイメージできるわかりやすい名前を自分でつけろという話がありました。自分は何をやる人だというのが明確にイメージできる肩書を自分で勝手につけて、他人と差別化を図り、独自のニッチな市場でコンサルティングを行ったりセミナー講師になったりするとうまくいくという話です。

先ほどの売上を伸ばすアドバイスができる税理士は、税理士として売るよりも「売上倍増請負人」みたいな肩書を勝手に作って「売上倍増したら利益の1割が報酬になります」という説明をして売り込んだ方がより多くの報酬を得られる可能性があります。