人がゲームをしているのを横で見る面白さ
ゲーム実況というのはYoutubeやニコニコ動画といった動画サイトの人気が高い一ジャンルで、人がゲームをやっているのを動画にしたものです。子供の頃、近所のパソコンを持っていた年上のお兄さんの家に遊びに行って、ゲームをやっているのを横で見ているだけでも面白かったものですが、そんな感覚で友達がゲームをやっているのを横で見ているような動画です。
ゲームは好きだけど、自分でゲームをやる時間も気力ないという人や昔やったゲームを懐かしんでなど理由はいろいろあるでしょうが、10年以上前からこのジャンルの動画は多くの再生数を稼いでいます。
著作権に関するグレーゾーン
ずいぶん昔から人気があったゲーム実況動画ですが、当初からこのジャンルには「著作権」という問題がありました。人気のある動画には必ずと言っていいほど著作権を問題視するコメントが書き込まれ、動画を制作する側も閲覧する側も「この動画は著作権的に問題はないのか」という不安を抱えていました。
著作権は著作権者が訴え無ければ罪に問われない親告罪なので、不安はありましたが訴えられていないという事を根拠にゲーム実況動画は次々に制作されてきました。これが非親告罪だったら、次々に取り締まられてジャンルとして成立しなかった可能性もあります。
「広告宣伝」と捉え始めた大手ゲーム会社
しばらくそのようなグレーゾーンの時代がありましたが、人気のあるゲーム実況者が生まれ、面白い動画が作られるにつれて、当初は黙認していただけだったゲーム会社の中に、公式に実況を認めるゲーム会社が現れ始めました。
昔は、すでに入手が難しいレトロゲームやあまり人に知られていないクセのあるゲームがばかりで、最新作のゲームを実況するのは若干アンダーグラウンドな雰囲気がありましたが、大手ゲーム会社が実況を解禁してからは、最新作がでると、一気にそのゲームを実況する動画がいたるところに現れるという現象が起きています。
ゲーム実況動画を見ることで、ゲームを買わなくてもゲームをやったつもりになれるというのがかつてのゲーム実況動画でしたが、今はゲーム実況動画を見て面白そうだから買うということをゲーム制作者側が狙っていると思われる動画がたくさんあります。ゲーム実況者のスタンスは変わらず、やっていいゲームだから堂々とやっているというだけです。
その結果、ゲーム実況者がゲームが発売されたこと、みんなプレイしていることを伝え、ゲーム会社が全くコストをかけることなく大々的に宣伝してくれることになります。こうして今では、著作権について騒ぐ人も見なくなり、ゲーム実況とゲーム会社の間にWin‐Winの関係が築かれています。
情報を扱うビジネスの北風と太陽
ゲームに限らず情報を扱うビジネスは、情報を知られてしまうと商品価値が無くなる(もしくは下がる)という問題と、情報が広く広まらなければ価値が無い(もしくは低い)という相反する問題を抱えており、その匙加減が非常に難しい問題になります。
しかし、このゲーム実況とゲームの関係を見ていても、インターネットが普及した要因やWindowsがMacに、VHSがβに勝った事例を見ても、隠すよりは広めた方がより大きな利益を得られるのではないかと思います。