会計

財務会計の限界を超えるには

財務会計は時間を考慮しない

こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、専門分野にかかわる日々感じていることを紹介させていただきます。

ある商品を販売する事業を営んでいるとします。商品の仕入金額が10万円として、決算書上に載ってくる棚卸資産の金額は10万円です。

1年後この商品を5回売れては仕入れを繰り返し、6回目の仕入れで期末を迎えると、棚卸資産の金額はやっぱり10万円です。1年後まで1度もこの商品が売れず期末を迎えるとどうでしょうか。この場合も棚卸資産は10万円です。

キャッシュを使って仕入れられた棚卸資産が販売され、もう一度より多くのキャッシュとなって戻ってくるまでのリードタイムが短ければ短いほど、変化に強い、より成長の早い企業を作ります。にもかかわらず、このリードタイムを評価できる仕組みは財務会計の中にはありません。

リードタイムをざっくりと調べる方法として在庫回転率という経営指標があります。これは、売上高(売上原価)を平均在庫高で割ったもので、先ほどの例だと、前者の例で売上原価50万円/棚卸資産10万円=5回転(1年間に5回仕入)、後者の例で売上原価0円/棚卸資産10万円=0回転(1年間に0回仕入)となる指標です。

なんだ、財務会計が時間を考慮しなくても計算方法はあるのか、と思われたかもしれませんが、一つ一つの品目のリードタイムを評価しているわけではなく、売上原価と棚卸資産の金額を抑えている単位での平均的なリードタイムを示しているのみです。

財務会計に縛られない管理会計の世界

財務会計には、他社との比較を容易にするため、逸脱してはいけないルールが厳密に設定されています。その結果、欲しい情報がピンポイントに得られないというデメリットもあります。

そこで、各社が自由にできる管理会計があります。管理会計は他社との比較を目的としておらず、自社に本当に必要な情報を手に入れるために利用されます。

棚卸資産が長く自社にとどまると悪い数値になり、短い期間で出ていくといい数値になるようなアイデアとしては、棚卸資産に単純に日数を掛ける、手に入る利益(販売金額-仕入金額)を足すなどして、数値が大きくなる棚卸資産をモニタリングするなどがありますが、要は正しい意思決定を行えるような情報を作ることができれば管理会計に制約はありません。

決算書が読めるようになったのち、決算書の情報では不十分だと感じるようになったら、次は管理会計について考えてみてはいかがでしょうか。

管理会計についてくわしく知りたい! などご相談がありましたら問い合わせフォームからよろしくお願いいたします。